国境の島の歴史語る 対馬博物館がオープン

国境の島の歴史語る 対馬博物館がオープン

特別展の解説をする町田館長=2022年4月26日午後2時32分、長崎県対馬市厳原町今屋敷、寺島笑花撮影 九州と朝鮮半島との間に位置する 長崎県 の離島、対馬に4月30日、「対馬博物館」が開館した。大陸の国々と日本本土とをつなぐ役割を果たしてきた国境の島、対馬。その交流の歴史を物語る資料が数多く収蔵されている。 本館は、展示室がある「博物館ゾーン」と、講座室やギャラリーがある「交流ゾーン」に分かれている。 「博物館ゾーン」では、 江戸時代 に対馬を治め、日朝外交を担った宗家に関係する資料や、13世紀に朝鮮で作られたとされ、日本で唯一発見されたすずりに水をさすための道具「青磁獅子形硯滴(けんてき)」などが展示されている。 「交流ゾーン」は ワークショップ ができる 体験学習 室や昆虫標本などが見られる講座室を備え、ギャラリーやミュージアムショップも設けられる。 同館には、資料の調査・研究と保存・修復をする長崎県対馬歴史研究センターを設置。 国指定重要文化財 も収蔵しており、博物館の展示に活用される。そのほか、昨年10月に開館した分館「対馬 朝鮮通信使 歴史館」では、対馬と朝鮮通信使の歴史を映像や資料で紹介している。 島には合併前の各町が建設した郷土館などはあったが、全土の歴史を網羅する資料館は初めて。26日には報道関係者向けの内覧会があり、町田一仁館長は「市民には対馬への誇りを持っていただき、島外の方には対馬の自然、歴史といった魅力を感じていただきたい。博物館を拠点に情報を発信し、対馬全体に誘導する施設にしたい」と話した。延べ床面積は約5千平方メートルで、総事業費約40億円。開館時の展示資料数は617点。 開館記念として、6月26日までは「対馬の外交I 以酊庵(いていあん)」と題した特別展を開催。京都五山から派遣された禅僧が、朝鮮との文書を取り扱った外交機関「以酊庵」について、秘蔵資料などから朝鮮外交に果たした役割を紹介している。 平常展の観覧料は、一般550円、高校・大学生330円、小中学生220円で、対馬朝鮮通信使歴史館の観覧も可能。年間観覧券も販売されている。(対馬通信員・佐藤雄二)

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