「鎌倉殿の13人」菅田将暉も驚き!義経の最期に“堀川夜討と里の伏線”歴史ファンも唸る三谷マジック再び

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第20話。里(三浦透子)を殺めてしまい、慟哭する源義経(菅田将暉)(C)NHK Photo By 提供写真 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は22日、第20話が放送され、俳優の菅田将暉(29)が熱演した天才軍略家・源義経の最期が描かれた。第19話(5月15日)の「堀川夜討」が伏線となり、菅田自身も「最後の里(三浦透子)のところ(京の刺客が自分の手引きだったと告白)までつなげてくる三谷さんは、やっぱり凄いなと思いました」と驚きを隠さなかった。 <※以下、ネタバレ有> 稀代の喜劇作家・三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。 「堀川夜討」とは1185年(文治元年)10月、京の六条堀川にある義経の館が、頼朝の命を受けた元興福寺の僧兵・土佐坊昌俊に襲われた事件。番組公式ツイッターによると、史書「吾妻鏡」には「土佐坊昌俊が60余騎の軍士を引き連れて、源義経の宿所を襲撃。義経はわずかな家人とともに自ら門戸を開いて戦い、昌俊を退けました」。05年「義経」は第43話(10月30日)のサブタイトルが「堀川夜討」だった。 今作においては第19話、正妻・里(三浦透子)が愛妾・静御前(石橋静河)への嫉妬から、土佐坊昌俊(村上和成)に義経の宿所を襲うよう依頼。「九郎様は痛めつけるだけ。決して命は取らぬこと。あと、顔は勘弁してあげて。女(静御前)は殺していい。九郎様は駄目」。義経は弁慶(佳久創)と応戦し、何とか切り抜けるが、その様子を里と源行家(杉本哲太)が庭の隅から見つめていた。 「間違いない。鎌倉が送ってきた刺客だ。他にそなたの命を狙う者がどこにいる。頼朝は、おぬしが怖いのだ。源氏の棟梁の座を奪われるのが。いずれまた鎌倉の息のかかった奴らがやってくる。その前に手を打つ。挙兵するのだ。事はもうそこまで来ているのだ、九郎。腹を括れ」。行家に焚きつけられた義経は「兄上が私を殺そうと。血を分けた兄弟ではないか!私はどうすれば。挙兵?兄上を討つ…」。己の運命に慟哭した。 そして、第20話。藤原泰衡(山本浩司)の軍が衣川館に迫る。 義経「ここらが、潮時のようだ」 里「私はこんな所で死にたくありませんから」 義経「これも宿命(さだめ)だ。あきらめろ」 里「付いてきたくなかった。畑仕事だってしたくなかった。でも、一つだけうれしいことが。聞いてましたよ、静のこと。いい気味だわ」 義経「そんなに、静が憎いか」 里「京にいた時、刺客に襲われたでしょ。あの者たちを手引きしたのは私。あの女を殺すつもりだった」 義経「おまえが?…呼んだのか。兄の策では、なかったのか!おまえが…呼んだのか…。おまえがー!」 義経の刀が里の胸を貫く。「すまぬ…。里…。すまぬ…。すまぬ…」。義経は嗚咽した。 頼朝の刺客に襲われたと思い、挙兵した義経。しかし、それは里の嫉妬が生んだ“悲劇”だった。なお、番組公式ツイッターによると、史書「吾妻鏡」には「文治3年(1189)閏4月30日条 藤原泰衡の襲撃に対し、源義経の家人らが防戦しますが、すべて敗北。義経は(衣河館の)持仏堂に入ると、まず妻と娘を殺し、次いで自害したそうです」。 兄弟のすれ違いについて、菅田は番組公式ツイッターの「かまコメ(撮影直前・直後の音声コメント)」で「ただ悲しさだけじゃなく、いろんな笑いも入ってくるし、リアルな“なんでこんなことになっちゃうかなぁ”っていうのを最初に持ってきて、ちゃんと最後の里のところまでつなげてくる三谷さんは、やっぱり凄いなと思いました」と語った。 頼朝の不興を解くため義経が書いたとされる詫び状「腰越状」(第18話、5月8日)の新解釈(平宗盛の代筆)などに続き、インターネット上には、三谷氏の作劇を称える声をはじめ、里の告白への考察も相次いだ。 「はーー、有名な土佐坊襲撃事件(実際は鎌倉から送り込まれることで有名)が、かの政子と亀の前の時と同様、後妻打ちと同じ流れで描くとは、何と入り組んだ三谷脚本!」 「堀川夜討の首謀者が頼朝じゃなかったことを知ることができたのは、義経にとって幸だったのか不幸だったのか」 「ちょっと…里(郷御前)の死を、こんな風に描くなんて…土佐坊昌俊の襲撃事件の伏線を、こんな風に回収するなんて」 「義経の最後をこんな風に描くのは三谷幸喜さんくらいだろうなぁ(褒め言葉)。前回の土佐坊昌俊の襲撃もこうつなげてくるとは…脚本の妙が凄い。しかし、切ない」 「里、とてもリアルだと思いました。娘を挟んで語るあのシーンは、胸にくるものがありました。義経は妻子を先に殺し、自刃したと『吾妻鏡』にはあるそうです。それをこんなシーンに仕立てるとは…」 「里御前の最期が特に印象的。静の話を立聞きしている表情には悲しみのようなものが見えたので、土佐坊の件の告白は贖罪の意味もあったのか。わざと夫を激昂させ、殺めさせるというのは酷なのだけど、微笑んだように見えたのは“それでいい”と言っているように思えた」 「里は静御前の話を立ち聞きして、深い懺悔の気持ちと、正妻の自分が負けたくないという気持ちが芽生えたのだと思う。だから、わざと義経に憎まれ口を叩き、自分を殺させた。敵なんかに殺されたくない、夫に殺されたい。静御前は生き延びたけど、正妻の自分は義経に殺されて、ここで死ぬ。その術中にはまったことに気づいた義経が、殺した後で里を抱いて泣いたのだと思う」 「里と静の“女の覚悟”が凄まじかった感。そして、頼朝との決裂を決定的にした“土佐坊襲撃”が里から(行家に利用されたにせよ)来たことを考えると、ゆめゆめ女性をおろそかに扱ってはならじ」 歴史ファンも唸りまくる三谷脚本。義経に続き、謎に包まれた頼朝の最期は、どのように描かれるのか。

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