『平安貴族とは何か~三つの日記で読む実像』レビュー——華やかに見えて、意外とハードな貴族ライフ!?
「平安貴族」と聞くと、どんなイメージを思い浮かべますか?
✔ 十二単をまとった姫君たちが和歌を詠む
✔ 貴族たちが雅に管弦の遊びを楽しむ
✔ のんびりとした宮中生活
…確かに、それも平安時代の一側面ではあるのですが、
実はその裏側には 泥臭く、必死で生き抜く貴族たちのリアルな姿 がありました。
本書 『平安貴族とは何か~三つの日記で読む実像』 は、
そんな 「平安貴族の日常」を、当時の貴族が残した日記を通して読み解く 一冊です。
「貴族って、こんなに大変だったの!?」と驚くようなエピソードが満載。
華やかなイメージとは違う、リアルな平安貴族像 を知ることができます。
日記から読み解く「平安貴族の本当の姿」
本書では、平安時代の貴族が残した 三つの日記 を取り上げています。
① 『小右記(しょうゆうき)』(藤原実資)
② 『権記(ごんき)』(藤原行成)
③ 『御堂関白記(みどうかんぱくき)』(藤原道長)
この三人はいずれも藤原氏の高官で、
それぞれの視点から見た「平安時代のリアルな日常」が記録されています。
① 『小右記』——下剋上に翻弄される貴族の嘆き
藤原実資(ふじわらのさねすけ)は、保守的な官僚でありながら、
当時の宮廷政治の荒波にもまれた人物。
『小右記』では、彼の 愚痴、怒り、嘆き がこれでもかと書き込まれています。
例えば——
✔ 「アイツ(藤原道長)がすべてをかっさらっていく…」
✔ 「もう少し真っ当な政治がしたいのに、どうにもならん!」
といった感じで、時の権力者・藤原道長に対する 嫉妬と絶望 が赤裸々に綴られています。
まるで 「できる官僚が上司に振り回される社畜日記」 のようで、現代にも通じる苦悩が垣間見えます。
② 『権記』——官僚の苦悩と出世競争
藤原行成(ふじわらのゆきなり)は、書道の達人として有名ですが、
彼の『権記』では、宮廷官僚のリアルな出世争い が描かれています。
✔ 「上司に認められない…」
✔ 「部下がミスをして、こっちに火の粉が降りかかる…」
✔ 「ライバルのあいつ、なんで昇進してるんだ!?」
といった愚痴のオンパレード。
まさに 「平安時代の公務員あるある」 といえる内容です。
さらに、藤原行成は 当時の宮廷のブラックな労働環境 についても記録しており、
「貴族って、めちゃくちゃ忙しかったんだな…」と驚かされます。
③ 『御堂関白記』——最強の貴族・藤原道長の本音
「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」
これは、藤原道長が権力の絶頂で詠んだ有名な歌ですが、
『御堂関白記』には、そんな道長の 表向きの成功の裏での葛藤や、細かい権力調整 が描かれています。
✔ 「息子たちの将来をどうするか…」(藤原家の繁栄を保つ戦略)
✔ 「皇族との関係をどう維持するか…」(政略結婚と権力のバランス)
✔ 「ライバルをどう抑えるか…」(藤原氏以外の有力貴族との駆け引き)
こうした記録を読むと、
道長が ただの「運のいい貴族」ではなく、徹底的な計算と努力でのし上がった人物 だったことがよく分かります。
平安貴族=「のんびり」ではなく「必死に生き抜く」時代
この本を読むと、平安時代の貴族が決して
「雅な暮らしを楽しむだけの優雅な人々」ではなかったことがよく分かります。
✔ 政治の世界では、日々ライバルとの戦いに明け暮れる
✔ 上司に気を遣い、部下の失敗に振り回される
✔ 出世のためには、策を巡らせなければならない
✔ 権力を手にしても、気が抜けない(むしろ責任が増す)
つまり、貴族たちは現代のサラリーマンと同じように、
必死に生き抜いていた のです。
「優雅な暮らし」と「厳しい現実」が共存していた平安貴族の姿が、
日記という生々しい一次資料から見えてくる のが本書の最大の魅力です。
まとめ——平安貴族のリアルを覗ける一冊
『平安貴族とは何か~三つの日記で読む実像』は、
これまでの平安時代のイメージを覆す、リアルな貴族の日常を知ることができる本 です。
📌 平安時代の貴族の本音を知りたい!
📌 歴史を身近に感じたい!
📌 ただの「雅な世界」ではない、貴族の苦労話を読んでみたい!
こんな人には、間違いなくおすすめの一冊。
読めば、平安時代のイメージがガラリと変わること間違いなし!
歴史が好きな人はもちろん、歴史に詳しくない人でも楽しめる内容なので、
「平安時代って面白そう!」と思ったら、ぜひ手に取ってみてください!