江戸時代に盛んだった古式捕鯨を伝える尾鷲市梶賀町の祭り「ハラソ祭り」を紹介する企画展が、県立熊野古道センター(尾鷲市)で開かれている。コロナ禍の中断を経て再開された伝統の祭りを通じて、人々の暮らしを支えてきた海への感謝や、漁師たちの心を伝えている。(根岸詠子、写真も) 過去に行われたハラソ祭りの様子 梶賀町は山に囲まれた入り江の奥にある集落で、古くから捕鯨が行われてきた。江戸時代には 飢饉ききん になるたびに鯨が捕れ、住民を救ったとの言い伝えが残る。 明治時代に梶賀町の捕鯨が終わり、鯨への感謝を込めてハラソ祭りが始まった。現在は毎年1月初旬、梶賀町の沖合で行われる。コロナ禍で中断されたが、2023年に再開した。熊野古道センターによると、海上で行われる国内の祭りのうち、100年以上の歴史があるのはハラソ祭りだけという。 数十枚の大漁旗を掲げた船に、顔を白く塗った男たちが乗り、「ハラーソ、ハラーソ」のかけ声に合わせて 櫓ろ をこいで進む。1人が船首に立ち、歌舞伎のような動きで海中に 銛もり を投げ込むのが祭りのクライマックスだ。 ハラソ祭りを再現した展示が並ぶ会場(尾鷲市で) 企画展の会場では、祭りで使う船の「船尾飾り」や参加者たちの衣装、実際に捕鯨で使われていた銛など20点を展示している。 捕鯨の手法や歴史についてもパネルで紹介。統率のとれた動きで複数の船を動かす操船技術や、高台からのろしを上げて鯨の場所を知らせる方法は、水軍の技術にも共通する。紀州藩は、捕鯨を軍事訓練の一環としても重視し、推奨していたという。 担当者は「錦絵のように華やかで、軍記物語のように勇壮な祭り。梶賀の人たちの心意気を伝えたい」と話している。 ◇ 入場無料。10月14日まで(会期中は無休)。10月13日午前10時から、梶賀町を散策したり、櫓こぎや郷土食の「あぶり」を作ったりする体験も予定している。参加費500円で、9月28日までにセンター(0597・25・2666)へ申し込む。 三重の最新ニュースと話題 あわせて読みたい 大雨被害 能登被災地の本格支援へ 知事「県全体で寄り添う」 県産米の栽培~流通学ぶ 県立明野高生 伊賀焼3万点格安 あすまで 31窯元集う 国史跡「旧林崎文庫」公開 あすまで 伊勢 神職らの学問所
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