歴史空想対談シリーズ VOL.1 「これからどうなる江戸の未来」——蔦屋重三郎 × 平賀源内

舞台:江戸・日本橋の書店「耕書堂」
江戸の出版文化を牽引した蔦屋重三郎が、一風変わったゲストを迎えた。
その名も平賀源内——発明家にして、蘭学者、戯作者、鉱山師、そして自由人!
時代を先取りしすぎた男・源内が、江戸の未来をどう見ていたのか?
二人が語り合う、ここだけの対談をお届けしよう——。


📖 第一章:未来はすぐそこに来ている?

蔦屋重三郎(以下、蔦屋):
いやぁ、先生。まさかお招きできるとは思いませんでしたよ。
世間じゃ「時代を先取りしすぎた男」なんて言われてますが、
先生は江戸の未来をどう見てるんですか?

平賀源内(以下、源内):
未来?そんなもの、とっくに来ているじゃないか。
君だって本屋をやっているなら感じるだろう。
——この江戸の町が、すでに新しい時代の入口に立っていることを。

蔦屋:
いやいや、ちょっと待ってくださいよ。
江戸はまだまだ古いしきたりに縛られてるじゃないですか。
だって、「洒落本」や「黄表紙」を出すだけで幕府ににらまれる時代ですよ?

源内:
ははっ、それは君のやり方が派手すぎるからだよ!
でもな、蔦屋君。この町の人々を見てみろ。
みんな「もっと知りたい、もっと楽しみたい」と思っている。
これは昔の江戸にはなかったことだ。

蔦屋:
うーん、たしかに本はどんどん売れてますね。
浮世絵も、どんどん新しいものが出てきています。
じゃあ、先生。江戸の未来はもっと面白くなるってことですか?

源内:
間違いない。


🖋 第二章:技術と学問が江戸を変える?

蔦屋:
先生は、何かと「西洋の技術がすごい」と言いますけど、
そんなに大事なものなんですか?

源内:
大事どころじゃないさ。たとえば、君が売ってる本。
今は木版で印刷しているだろう?

蔦屋:
ええ、それが普通ですからね。

源内:
でも西洋では、活版印刷という仕組みがある。
これを使えば、本がもっと早く、もっと大量に作れるんだ。
つまり、本というものが、今よりもっと庶民の手に届きやすくなるってことさ。

蔦屋:
それはすごい…!本がもっと普及すれば、
江戸の町人たちの知識もどんどん増えていきますね!

源内:
そうだとも。本は知識の倉庫だからな。
もっと本が増えれば、江戸の町人たちは学問に目覚める。
そして学問が広まれば、技術も発展する。
今は「大名や学者だけのもの」と思われている学問が、
町人や職人のものになるんだ。

蔦屋:
ってことは…
庶民が学問を持てば、武士より賢くなる時代が来るかも?

源内:
むしろ、もう来てるよ。
だって、商人の方が金を持っているし、
武士より学問に興味を持っているじゃないか。

蔦屋:
ははっ、それは言えてる!
大名なんて、浮世絵や洒落本ばっかり買ってますからね(笑)


⚡ 第三章:幕府の未来はどうなる?

蔦屋:
先生の話を聞いてると、
江戸の町はどんどん変わっていきそうですね。
でも…幕府はどうなるんでしょう?

源内:
幕府か…難しいな。
このままのやり方を続ければ、武士は次第に力を失う。
だが、幕府が「変わる」ことができれば、生き残る道もある。

蔦屋:
変わる、ですか?

源内:
たとえば、さっき話した西洋の技術や学問をもっと取り入れる。
「鎖国」なんて言っているが、実際は長崎でオランダと貿易してるだろう?
あれをもっと広げるんだ。
そうすれば、世界の技術を学んで、新しい幕府を作れるかもしれない。

蔦屋:
先生、でも幕府って保守的じゃないですか?
そんなに簡単に変わると思います?

源内:
まあ、難しいだろうな(笑)
でも、いずれどこかで限界がくる。
そのとき、幕府が新しい道を選べるかどうかが、
江戸の未来を決めるんだ。


🎭 第四章:江戸の娯楽はどうなる?

蔦屋:
さて、先生。最後に聞きたいんですが…
江戸の未来、娯楽はどうなりますかね?
本や芝居、浮世絵なんかは、この先も残りますか?

源内:
残るに決まっているだろう!
人間が生きていくうえで「楽しみ」は欠かせない。
むしろ、新しい技術が入ってくれば、娯楽も進化する。

蔦屋:
新しい技術…?

源内:
たとえば、西洋では「映る画(うつるえ)」というものがある。
光と影を使って、まるで絵が動いているように見せるものだ。
いずれ、江戸の人々も「動く浮世絵」を楽しむ日が来るかもしれないな。

蔦屋:
「動く浮世絵」…それは面白そうだ!
じゃあ、私が生きてるうちに見られるかな?

源内:
さあ、それはどうだろうな?
だが、蔦屋君。君の作る本も、江戸の未来を形作るもののひとつだ。
これからも、面白い本をたくさん世に送り出してくれよ。

蔦屋:
ええ、もちろんですとも!
先生こそ、また面白い発明を見せてくださいよ!


🌏 エピローグ——江戸の未来は…

江戸の未来を語り尽くした二人の知識人。
彼らの予言は、果たしてどこまで現実のものとなったのか?

その答えは、私たちが知っている。
なぜなら、この時代の先に、開国、文明開化、印刷技術の革新、映画の登場…
すべてが実現する未来
があったのだから——。

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