古代東山道の難所・神坂峠と諏訪信仰
岐阜県中津川市に位置する神坂(みさか)の諏訪神社は、古くから東山道(とうさんどう)を行き交う旅人たちの信仰を集めてきた神社です。東山道とは、古代における東国と都を結ぶ幹線道路のひとつであり、その中でも神坂峠(標高約1,570m)は最大級の難所として知られていました。
この峠を越える旅人たちは、険しい山道や厳しい自然環境の中で命の危険にさらされることが多く、道中の安全を祈るために神坂の諏訪神社を信仰してきたのです。
この神社は、長野県の諏訪大社(信濃国一宮)の御分霊を祀る神社であり、その創建は不詳ながら、奈良時代以前からすでに存在していたと考えられています。古代の人々が峠越えの際に立ち寄り、旅の無事を祈願する場所として栄えました。
諏訪神社と神坂峠の歴史的背景
古代の東山道を通る旅人だけでなく、平安時代には朝廷から派遣された役人や僧侶たちも神坂峠を越える際に諏訪神社を訪れたと伝えられています。峠付近には、古代東山道の遺構が発見されており、飛鳥時代から奈良時代にかけて整備された道の跡が確認されています。
また、神坂峠一帯は**「神坂峠古道」として、奈良時代の東山道の名残を感じられる貴重な歴史的遺産となっています。特に平安時代には、「延喜式」に記された美濃国の関所(神坂関)**が置かれていたこともあり、交通の要所として重要視されていました。
さらに、戦国時代には木曽義仲がこの峠を越えて東国へ進軍したとされ、江戸時代に入ると中山道の発展に伴い、かつての東山道の重要性は薄れましたが、それでも神坂の諏訪神社は地域の信仰を集め続けました。
現在のみどころ
神坂の諏訪神社は、標高の高い神坂峠のふもとにあり、訪れるだけでも壮大な自然を感じることができます。現在の神社では、次のような見どころがあります。
① 本殿と御神木
本殿は静寂な森に囲まれ、厳かな雰囲気の中に佇んでいます。 その佇まいから、古来より信仰を集めた歴史の深さを感じることができます。境内には樹齢数百年とされる大木があり、神秘的な雰囲気を醸し出しています。
② 神坂峠古道の遺構
神坂の諏訪神社を訪れるなら、ぜひ周辺の神坂峠古道の遺構も歩いてみましょう。石畳が一部残っており、古代の旅人たちが通った道を体感することができます。また、峠の山道は修験者の修行の場でもあったとされ、当時の精神文化にも触れられる場所です。
③ 絶景スポットとしての神坂峠
標高1,570mに位置する神坂峠からは、晴れた日には木曽山脈や南アルプスの壮大な景色を一望できます。特に秋には美しい紅葉が広がり、冬には神秘的な雪景色が広がるため、四季折々の美しさを楽しむことができます。
また、神坂峠は**「日本武尊(ヤマトタケルノミコト)」**が越えたとされる伝説も残っており、古代史のロマンを感じさせる場所でもあります。
まとめ
神坂の諏訪神社は、古代東山道の難所・神坂峠を越える旅人の安全を祈る神社として長い歴史を持ちます。 現在でもその神聖な雰囲気は変わらず、周辺には歴史的な遺構や絶景スポットが広がり、訪れる人々に古代の旅の面影を伝えています。
歴史好きな方はもちろん、自然を楽しみたい方にもおすすめのスポットです。もし神坂峠を訪れる機会があれば、ぜひ神坂の諏訪神社にも立ち寄り、かつての旅人と同じように安全を祈願してみてはいかがでしょうか。


