バカ殿と呼ばれ続けた北条氏政に光明? 「汁かけ飯」に新解釈

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ネット上で、やはり話題になっていました、氏政「汁かけ飯」のエピソード

以下、3月5日(土)8時42分配信 ITmedia ビジネスオンライン 記事より抜粋しています。

 

編集部F: 前回の記事で、滝川一益と真田昌幸が共に調略が得意という話がありました。ちょうど先週の「真田丸」もタイトルが「調略」でしたが、放送をご覧になっていかがでしたか? 個人的には息を呑む展開で、真田昌幸の恐ろしさをまざまざと見せつけられた感じでした。

小日向: 「”表裏比興の者”と謳われた真田安房守の真骨頂でしたね! 知略が爆発していて、私も信繁と一緒にすっかり騙されてしまいました。今までで1番面白かったです。」

編集部F: あと気になったシーンとしては、高嶋政伸さん演じる北条氏政が汁かけ飯を食べながら発したセリフです。よく知られる氏政の逸話って……。

小日向: 「2度汁かけ」のことですね。あるとき、氏政がご飯にお汁をかけて、どうも足りなかったのでもう一度かけたのです。それを見た父親の北条氏康が「毎日食べているのに汁の量も量れないのか。こんなやつに国や家臣を推し量ることなんてできるか」と、北条家の行く末を嘆いたというわけです。

氏政にはもう1つのエピソードがあります。領地を見回っていたとき、農民たちが畑で麦を刈っているのを目にして、「あの麦を昼飯にしよう」と言ったそうです。それを聞いた家臣たちが「この人は今収穫したばかりの麦をすぐに食べられると思っているのかしら……」と、ドン引きしたという話です。

このように氏政は北条家の中で「バカ殿さま」として描かれることが多いのです。ただし、麦の逸話は武田氏の戦術を書いた軍学書「甲陽軍鑑」に載っていて、この軍鑑自体の真偽が定かでないので、氏政のおバカキャラが世の中で確立した後に作られた可能性もあると言われています。

確かに北条家は氏政と息子の氏直のときに滅亡したわけですが、何だか「こいつがバカだったから家がつぶれた」というスケープゴートにされている感じがしてかわいそうです。実は北条家が最大勢力を誇っていたときは氏政の時代ですし、そこまでおとしめるのは気の毒に思います。

●北条の国盗り、ゆっくり味わおうではないか

編集部F: 実際にバカ殿さまだったかどうかは分かりませんが、歴史が塗り替えられることは往々にしてあるわけで……。

小日向: そこで、今回の大河ドラマにおいて、脚本家の三谷幸喜さんは氏政を今までのような凡庸な大将としてではなく、別の描き方をしたいという思いがあったそうです。それがまさに先週のシーンです。

北条家の外交僧、板部岡江雪斎が戦況報告する場面で、汁かけ飯を食べながら発した氏政のセリフ。「先を急ぐな。食べる分だけ汁をかける。少しずつ、少しずつ。わしの食べ方じゃ。北条の国盗り、ゆっくり味わおうではないか……」。

今までネガティブにしか語られてこなかった2度汁かけの逸話に新たな解釈が生まれたのです。「こう来るか!」とテレビの前で思わずニンマリしました。

当サイトの投稿記事、二度汁かけの北条氏政 合わせてご覧ください。

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