二度汁かけの北条氏政

北条氏政の二度汁
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二度汁かけの氏政、真田丸では・・・

早雲に始まる後北条氏による関東支配を終わらせてしまった北条氏政。実際、氏康の後を継いだ後は、北条氏の勢力拡大に成功し、その最大版図を築いた戦国武将。ですが、いかんせん「北条家を滅亡に導いた。」結果から、歴史上さんざんな評価を受けている人物なのです。

そんな中、大河ドラマ「真田丸」では、今までとは一味違う氏政を高嶋政伸さんが怪演。

草刈正雄さんの真田昌幸。そしてこちらも、新しいイメージが印象的な内野聖陽さんの徳川家康と並んで、たいへん個性豊かなキャラクター設定となっているのではないでしょうか。

そして、とにかく否定的な逸話ばかりが残る氏政。なにせ後世になって編纂された『北条記』には、「四世の氏政は愚か者。」とか、「父・氏康君の武徳のおかげがあって、なんとか国を治めた。」などさんざんな言われようなだけでなく、北条5代の当主の中で唯一「君」も付けられていないという有様なのです。

そんな、地の底までにも低い氏政の無能ぶりをあらわすエピソードに、有名な「汁かけ飯の話」というのがありまして、食事の際、氏政が汁を一度ご飯にかけますが、汁が少なかったのでもう一度汁をかけ足した。これを見た父の氏康が「毎日食事をしておきながら、飯にかける汁の量も量れないとは・・・北条家もわしの代で終わりか」と嘆いたという逸話です。

このエピソード、真田丸の第1回に氏政の登場シーンで使われて、ネット上でも話題になりました。いろいろ世間を賑わせた二世タレントの高嶋政伸さんのイメージと相まって(失礼!)。真田丸で描かれる氏政がどういうものになるのか?それはつまり、徹底的に愚鈍な君主として存するであろう。という大方の予想、というか普通にそのように思ってしまうのですが・・・

 

ところが、第8回の「調略」で衝撃のシーンが。

そして、その二度汁かけのシーンが再度、真田丸・第8回で登場します。

氏政(椀に汁をかけながら)「食べる分だけ汁をかける。」「少しづつ、少しづつ。」「これがわしの食べ方じゃ。」

「北条の国盗り、ゆっくり味わおうではないか。」

出ました、新解釈です。すごい。

第1回でのこの登場シーンはネタフリだったわけです。

氏政は椀に注ぐ汁の適量が測れなかったわけではなく、椀に注がれたご飯をより一層おいしくいただくために、少しづつ汁を注ぎ入れながら楽しんで食していたのです。

歴史的にも再評価のすすむ北条氏政。有名エピソードを上手く利用した、まさに「言い得て妙」な名シーンではないでしょうか。恐らくですが、まだまだこんな仕掛けが、地雷的に仕込まれていそうな真田丸。今後も見逃せません。

 

また最後に、家族思いの人物でもあったという氏政。有能な弟達と常に良好な関係を維持したのみならず、愛妻家としても知られており、正妻の黄梅院とは武田の駿河侵攻を機に離婚させられましたが、氏政本人は最後まで離婚を渋り、氏康の死の直後に武田と和睦した際には、真っ先に妻の遺骨を貰い受け手厚く葬ったとも言われます。

真田丸では、まだ年の若い氏直にいろいろと心配りをかけているように感じられる氏政ですが、真田家も参加する秀吉の北条征伐、どんなクライマックスを迎えるでしょうか?

北条氏政の投稿記事②はこちら

北条氏政

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