歴史教育の転換、参政権くじ引き制、少子化対策…いま注目の論考は

歴史教育の転換、参政権くじ引き制、少子化対策…いま注目の論考は

4月の論壇委員会で議論になった主な雑誌 朝日新聞には毎月、雑誌やネットで公開される注目の論考を紹介する「 論壇時評 」という欄があります。時評を執筆する宇野重規さんと6人の論壇委員は月に1回、注目の論考や時事問題について意見を交わします。各分野の一線で活躍する論壇委員が薦める論考を紹介します。(「*」はデジタル) 青井未帆=憲法 △五野井郁夫「現代世界秩序構想と 平和主義 規範」(法律時報4月号) <評>国際政治学は国際関係を国際的な自然状態たる「国際的 アナーキー 」として、また国際政治をアナーキー下での権力闘争として理解してきた。しかし世界秩序構想を実現するには、 国連改革 により「共通平和」を目指す必要がある。アナーキーを低減する 日本国憲法 9条には、その規範力と実在に意義がある。「まっとうな国際制度への移行」を、歴史的展開を踏まえ正面から説く論考。ロシアの ウクライナ 侵攻が混迷を深めるなかで、改めて世界秩序構想とのつながりを考えさせる。 △岡本隆司「歴史教育と歴史研究 主題学習とアジア史をめぐって」(思想4月号) △山口晃人「選挙の憂鬱(ゆううつ) 参政権 くじ引き制のすすめ」(中央公論5月号) 板橋拓己=国際・歴史 △井野瀬久美惠・小川幸司・ 成田龍一 「〈討議〉転換期の歴史教育/歴史教育の転換」(思想4月号) <評>「歴史総合」のスタートから1年、「 日本史 探究」「世界史探究」も4月から開始。まさに転換期を迎えている高校歴史教育について思想4月号は多角的に論じる。とりわけ現場の高校教員たちの寄稿からは、教科書の情報過多、評価の難しさといった重い課題が浮かびあがる。また、井野瀬氏らの討議では、今の学生・生徒は授業で教わる歴史も歴史修正主義の議論も等価に受け取る傾向があると指摘される。過去や他者との対話のなかから歴史をいかに構築できるかが問われている。 △ユルゲン・ハーバーマス「交渉の勧め」(世界5月号) △益尾知佐子「『冷戦後』中国の脅威認識 なぜ警察協力が非 西側諸国 の国際公共財になりうるのか」(外交3・4月号) 金森有子=環境・科学 △加納圭「理科離れ再考 ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンの視点から」(現代思想4月号) <評>若者の科学技術への関心がなかなか高まらない状況を紹介。何らかの理由で「理科離れさせられている」なら、その原因を取り除く必要があると論じる。情報通信技術の発達により、本人の意思で欲しい情報を入手しやすい時代になった。良質な理科系コンテンツが配信され、状況が改善されることが望ましい。科学技術や理科に関するトピックは、社会経済問題と関連するものも多い。強い関心は持てなくても、目の前の問題を理解する姿勢は多くの人に持ってもらいたい。 △P.ボール「クール・コンピューター 熱くならない計算機を作る」(日経サイエンス5月号) △ケーシー・クラウンハート「『ゴールド』にも期待の水素、 気候変動 対策にいつ役立つのか?」(MITテクノロジーレビュー、4月10日*、https://www.technologyreview.jp/s/300018/when-hydrogen-will-help-climate-change-and-when-it-wont/) 砂原庸介=政治・地方政治 △應田治彦、島章、志村仁、堀尾喜代、小田保彦「管理組合理事長、元理事長座談会 住環境を共同で守り維持する難しさと面白さ」(建築ジャーナル4月号) <評> マンション管理組合 の理事長経験者を中心とした座談会。住民同士の合意形成の困難や、その面白さを論じる。近年導入された […]

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