「歴史探偵」と「鎌倉殿の13人」がコラボ 制作統括がキャスティング理由などを語る

「歴史探偵」と「鎌倉殿の13人」がコラボ 制作統括がキャスティング理由などを語る

佐藤二朗と山本耕史が「歴史探偵」で共演 7月20日(水)放送の「歴史探偵」(毎週水曜夜10:00-10:45、NHK総合)は、「鎌倉バトルロイヤル」と題して大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)とコラボレーション。同番組のMCで、「鎌倉殿の13人」では比企能員を演じる佐藤二朗と、ゲストとして三浦義村役の山本耕史が登場。放送にあたり、「歴史探偵」の河井雅也チーフプロデューサーと、「鎌倉殿の13人」制作統括・清水拓哉氏がインタビューに応えた。 【写真】怖い顔をする佐藤二朗“比企能員”に寄り添う堀内敬子“道” 「歴史探偵」は、現場調査や科学実験、シミュレーションを駆使して古代、戦国、幕末の大事件の真相に迫る歴史番組。 WEBザテレビジョンでは、山本のキャスティング理由やMCや俳優としての佐藤の魅力、史実とドラマで異なる部分などについてインタビューを行った。また、ドラマのキャラクターの描き方や、今回の番組で取り上げられている北条時政の今後についても聞いた。 ■清水氏「独特な味わいがあって面白い」 ――清水さんは、今回の「歴史探偵」をご覧になられていかがでしたか? 清水:正直に言うと、「そんなにネタバレしないで」ということの連続でした。佐藤二朗さんと山本耕史さんがご出演されてトークを繰り広げていくということで、それぞれ演じているキャラクターに肩入れしつつ、歴史の史実の部分についてコメントしていくということが不思議な感じで、独特な味わいがあって面白いなと思って見ていました。 ■河井CP「とても楽しみでキャスティングさせていただきました」 ――山本耕史さんをゲストに選ばれた理由を教えてください。 河井:ドラマが後半戦に向かっていく中で、物語のキーパーソンになっていくのが山本耕史さん演じる三浦義村だと思っています。その山本さんに、僕たちが作った(『歴史探偵』の)VTRを見ていただいたらどんな反応をするのか、そして所長(番組MC)の佐藤二朗さんが山本さんの反応を見て、どんなリアクションをしてトークを盛り上げていくのか、というのがとても楽しみでキャスティングさせていただきました。 ■河井CP「二朗さんがスタジオに入られると一瞬で明るい雰囲気に」 ――番組でMC(所長)を務める佐藤二朗さんのMCとしての魅力をお聞かせください。 河井:スタジオ収録の時、収録前の僕らは段取りをしたり、うまくいかない部分が出てしまったりと少しピリッとした雰囲気になってしまっているのですが、二朗さんがスタジオに入られると一瞬で明るい雰囲気に変わります。その明るい雰囲気のままスタジオ収録を進めることができています。 「歴史探偵」は歴史番組をずっとやっている人たちが作っていることもあり、少し専門的になり過ぎてしまう部分があるのですが、より番組を分かりやすくして多くの人に届けていくというシステムを最終的に作ってくださっているのは二朗さんだな思います。二朗さんが(番組の内容を)分かってくれたら視聴者にも届くと思うので、そういう部分を意識しながら楽しく仕事をさせていただいております。 ――河井さんが思う佐藤二郎さんの俳優としての魅力はいかがですか? 河井:二朗さんは役に応じて全然違うキャラクター、世界観を作っていく俳優さんだなと感じています。今回の大河ドラマで演じている比企能員も非常に難しい役だと思いますし、いかようにも世界観を変えられるという部分は魅力だなと思います。 ■清水氏「あの場面の仕掛けには舌を巻きました」 ――収録で佐藤二朗さんと山本耕史さんが驚いていたことがあったそうですね。 河井:「歴史探偵」という番組は、資料の読み込みやロケ、研究者への取材を通して最新の知見を得て番組を作っています。そして、スタジオ収録をする時に“探偵の調査VTR”と呼んでいる映像を見てもらった後に、トークをしていただくというスタイルで撮影しています。今回は、二朗さんと山本さんが大河ドラマでやっていたことと、歴史探偵のVTRの内容が異なっていて「あれ? こんなシーンあったっけ?」というお話しにされて盛り上がっていました。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の三谷幸喜さんの脚本は、史実に基づいている中でそれを何倍にもひねって作られているので、異なる二つの世界が出てきて驚かれたのかと思います。 ――三谷さんの脚本の中で、清水さんがこれまで感心した部分を教えてください。 清水:たくさんありますが、僕は三谷さんに脚本をお願いする時に「とにかくお客さんをびっくりさせてください」というリクエストを出しています。歴史ドラマでありながら、お客さんを予測不能でびっくりさせてほしいという、矛盾するようなお願いに見事に応えてくださっています。 その中でも、時代考証の先生方からも反響が大きかったのは、佐藤浩市さんが演じた上総広常を殺すシーンです。上総広常の死については、吾妻鏡でもよく分かっていなくて欠落している部分で、頼朝軍の中で、極めて大きな役割を果たしていた上総広常をどうして頼朝が殺したのか、という謎がある中、青木崇高さんが演じた木曽義仲に向けて兵を挙げるために、坂東武者たちが乗り気ではなかったということをうまく使って上総広常を殺すシーンにつなげていて、頼朝が二重スパイのようにさせた上で、御家人たちの見せしめとして殺すというあの場面の仕掛けには舌を巻きました。 ■河井CP「鎌倉時代はとても魅力的な時代だと思います」 ――2021年は「歴史探偵」で、鎌倉時代を取り上げた放送がなかったように思いますが。 河井:歴史ファンが一番興味を持っているのは戦国時代なのかなと思っています。なので、これまでのラインナップで戦国時代が多くなってしまっている部分はあります。ただ、鎌倉時代が面白くないかと言うと全然そんなことはなくて、何本も取り上げられるくらいドラマチックな展開がある時代だと思っています。 この間も「元寇(げんこう)」を取り上げて、本当に神風が吹いたのかとか、モンゴル軍がどうやって攻めて来たのかなど、興味を引きつけられる話はたくさんありますし、「鎌倉幕府をどうやって滅ぼしたのか」という話の放送では、SNSで盛り上がったり、歴史ファンの反応も良かったりと、鎌倉時代はとても魅力的な時代だと思います。 ただ、2021年には取り上げずに今年に鎌倉時代を取り上げている理由は、「源義経」をテーマにした回の時に二朗さんのコネクションのおかげもあり、源義経の兄・源範頼を演じた迫田孝也さんに出演していただけたということもあり、やはり佐藤二朗さんが比企能員役で大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にご出演しているというのが大きいです。 ■清水氏「新しい“三谷大河”における山本耕史が見れるのではないかと」 ――「歴史探偵」チームと大河ドラマチームの間で、情報交換など互いの番組に影響を受け合うといったことはありますか? 河井:“大河チーム”とずっと連絡を取り合って、「歴史探偵」で源義経を取り上げるなどの情報共有はしています。これからさらにそういった関わり合いを作っていけたらなと思っています。 清水:「歴史探偵」は、伝統のある“歴史解説番組”で番組自体に長い歴史があるので、過去には大河ドラマの話を考えている時に「歴史探偵」で取り上げた人物を採用したということもありました。ただ、ドラマの放送中では台本が先に出来上がるので、なかなか「歴史探偵」を見てその時にドラマに登場している人物やその物語を変更するということは難しいです。 でも、今回の「鎌倉殿の13人」では歴史番組のディレクターが脚本開発に加わってくださっていて、ドラマ側とは違った視点、深さでリサーチをしてくれていて非常に勉強になっています。そういった形でNHKの歴史班の力を借りることはあります。 ――山本耕史さんを三浦義村役にした理由をお聞かせください。 清水:山本耕史さんは三谷さんの信頼も熱い俳優さんですし、僕も大河ドラマ「新撰組」(2004年)や大河ドラマ「真田丸」(2016年)でご一緒させていただいて大好きな俳優さんです。今回、演じてただいている三浦義村は、北条義時の盟友でありながら、元々は北条よりも勢力の強かった相模の三浦党の総領息子なので、北条の隆盛を横で見ていく中でアンビバレントな感情を抱えていると思います。義時とは親友でありながら、それだけではない何かある感じは山本さんはお得意だと思い、お話しさせていただきました。 “三谷大河”で、山本さんがこれまで演じてきた土方歳三や石田三成とはまた違って、新しい“三谷大河”における山本耕史が見られるのではないかと思っています。 ■河井CP「三谷さんの脚本に驚き、そして感動しています」 ――今回の「歴史探偵」を見て、史実とドラマで異なっている登場人物はいますか? 河井:大河ドラマ「鎌倉殿の13人」をずっと見てきて驚く部分はあります。登場人物で言うと、北条時政は裏で暗躍した野心家というイメージがありますが、ドラマでは優しいおじいさんのような感じで描かれていて、少しずつ野心を出しているといった部分が面白いなと思います。 それと、今回も番組で扱っている「曽我兄弟の敵討ち」では、頼朝を殺そうとしていたことや、頼家まで狙っていたとうことが史実では書かれていますが、ドラマでは敵討ちにだけ手を貸していてそこから先のことは描いていないなど、とても良い描き方をしているなと感じます。そういった違いをうまく消化させながら一つの世界観を作り出している三谷さんの脚本に驚き、そして感動しています。 清水:まず北条時政は、伊豆の勢力の小さな豪族に過ぎなかったであろう説や、実は京都とのつながりが深く、政治力を持った人なのではないかという説など、研究者の間でも非常に見解が分かれる人物です。そうした時に、やはりドラマではより劇的だったり、皮肉が効いていたり、運命的だったりという描き方を取っています。ただ、今回は北条義時を主人公にしているので、義時のお父さんとして、どういうお父さんだったら義時の人生がドラマチックになるのだろうか、という部分も含めて考えています。 あとは、政子も頼朝を尻に敷いていて悪女というふうに言われがちな人物ですが、彼女の人生を見ていくと本当にそれだけだったのかということもありますし、当然ドラマで1年かけて描くキャラクターなので、最初から最後まで同じ人ではなく、どこかのタイミングで尼将軍・北条政子が完成されて、でも完成されるまでのプロセスもドラマチックに描いていきたいとなるということでいうと、イメージとは少し違う北条政子からスタートしていくというようにしています。ドラマを作っていく中で、歴史解釈のあり得うる範囲の中で物語を選択しているというのが、“三谷大河”の作劇だと思います。 ■清水氏「歴史の奥の世界に引き込まれていくのではないかと」 ――北条時政の今後のみどころについて教えてください。 清水:連続ドラマなので、長い時間をかけてその人物が変化していく姿を描いていくので、時政がある回から突然豹変しましたみたいなことにはならないです。時政が頼朝の死後の鎌倉幕府の中で初代執権という存在になったことは歴史的な事実として間違いないので、時政自身がある覚悟を持ってその座を掴みにいく姿は描かれます。僕自身も台本や出来上がった試写データを見てみると、「第1回の時のお父さんがこうなるんだ」と感じます。それと同時に「あのまま伊豆で暮らしていればこんな目に合わずに済んだのに」と思うような部分もあるので、まさに大河ドラマだなと感じます。 ――今回の「歴史探偵」の注目ポイントを教えてください。 河井:大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は今後もドラマチックな展開が続いていくので、その下準備となる知識を今回の「歴史探偵」で得てからドラマを見ると、十倍にも二十倍にも楽しくなると思います。今回は、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」後半戦の御家人たちのバトルロワイアルを描いていて、おそらくドラマと違う部分もあると思います。ぜひ「歴史探偵」を見てから大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の後半戦を楽しんで見ていただけたらと思います。 清水:佐藤二朗さんや山本耕史さんが歴史への扉の案内役になってくださっています。ドラマの出演者として歴史の世界と日常の世界の間にいて、彼らのトークを聞き、リアクションを見ると、歴史の奥の世界に引き込まれていくのではないかと思います。今回の「歴史探偵」は、大河ドラマに時代考証の先生方がいて、彼らとディスカッションを行って、そこからヒントを得て想像力を膨らませて作り上げている、ということが分かる内容になっていると思います。 […]

元の記事の確認はこちらクリックでお願いします。 news.yahoo.co.jp

この記事を書いた人

目次